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2022-11-29
株式会社カインズ(以下「カインズ」)による東急不動産ホールディングス株式会社の連結子会社である株式会社東急ハンズ(2022年10月1日に株式会社ハンズへ商号変更、以下「ハンズ」)の発行済全株式の取得に際し、PwCアドバイザリー合同会社はカインズのファイナンシャルアドバイザー(FA)として、案件の進行をリードしました。その中で、PwC Japanグループ(以下「PwC」)の各チームがデューデリジェンス(以下「DD」)や買収後の統合支援(PMI : Post Merger Integration)業務の一部などを担い、ワンストップで支援。PwCの幅広い分野における専門性や、クライアントとの徹底した目的意識の共有により、本案件は成立しました。
PwCはカインズのFAとして案件成立を支援。写真は2021年12月記者発表会より:カインズ社長 高家正行氏(左)、東急ハンズ社長 木村成一氏(右)(2021年12月当時)
国内小売業界の市場規模は、この20年近く横ばいで推移しており、ホームセンター業界においてもその傾向は同様です。また、同業界では店舗数が増加し続けており、競争が激化していると言えます。特に、人口減少、地方のマーケット縮小に伴い、都市部においてその激しさが増しています。
加えて、消費者の価値観変容に伴う購買行動の変化や、テクノロジーの進化によるD2C(メーカー直販)におけるビジネスモデルの変容などを受け、競合相手も変化し、それらへの対応が求められています。
このような状況下において、ホームセンター業界のリーディングカンパニーは、消費者に対して新たな価値観や文化を提案・啓発することにより、新たな需要を創出し、市場を拡大する取り組みを進めています。それと同時に、消費者の価値観変容に対応する新たな商品・サービスを生み出し続けることや、社会における自らの位置付けを定めることが重要であり、これらの積み重ねが日々変化する環境変化の対応への近道になるものと考えています。
大都市圏を中心に多くの店舗を構えて事業を営んでいたハンズは、コロナ禍で人流が減少したことにより客足が遠のくなど経営上の課題を抱え、戦略の転換を模索していました。
カインズはハンズの高いブランド認知度と根強いファン層を抱えるユニークな事業を評価し、今後の事業において価値の共創が可能だと考え、ハンズの株式取得に至りました。
カインズは1989年に創業し、全国に展開する店舗とそこで働く従業員が、それぞれの地域の人々のくらしに寄り添いながら事業活動を行っています。2020年には「くらしに、ららら。」をお客様へのプロミスとし、くらしのさまざまな領域で、日常を、心地よく、便利に変えることを企業理念として掲げ、事業とブランドの成長に向けた取り組みを加速しています。
カインズは、DIY中心のライフスタイル提案型ショップを展開しお客様一人ひとりに寄り添った丁寧なサービスを提供するハンズとは、くらしをより良くしていこうという価値観が共通しており、自社の企業理念と極めて高い親和性があると考えました。
カインズは、全売上の約4割を占めるオリジナル商品(PB商品)の開発力と、今まで培ってきたデジタル活用に強みを有しています。これらにハンズが培ってきた発想力や商品・生活提案力、目利き力を掛け合わせ、両社の物流基盤を共通利用してサプライチェーン全体の効率化を図ることにより、さまざまな分野におけるシナジーの実現を目指しています。
2社の持つ強みを掛け合わせることは、カインズとハンズの同質化を進めるのではなく、カインズ、ハンズそれぞれの価値(ブランド)および個性を磨き上げることを目的としており、新たなDIY文化を共創することを意味しています。
一般的に、これまでのM&Aは、対象となる相手の実態を正確に分析し、案件としてのリスクを見極めるデューデリジェンス型のアプローチが主流でした。しかし、急激に変化し続ける経営環境においては、最早それだけでは十分ではありません。
企業の成長を目指した経営の選択肢としてM&Aをより有効に活用するためには、案件成立後も見据えたバリュークリエーション(価値創造)型のアプローチが必要となります。案件成立後に双方のケイパビリティを活かして、どのように戦略・オペレーション・組織を再構築し、さらなる大きな価値の創造を目指していくのか。それらを、案件が成立する前に深く洞察しておくことが求められています。
今回の案件のように、両者が共通の価値観を持っていることを踏まえ、将来的にどのように価値を創造するのかについて具体的に考察しておくことは、案件成立後の成長にとって非常に重要です。
PwCは本案件を支援するにあたり、クライアントであるカインズに対してFAのほか、財務・税務・人事・ITに係るデューデリジェンス(DD)、無形資産の価値評価(PPA:Purchase Price Allocation)、地理情報のデジタル化支援、会計および財務領域におけるPMIなどの業務をワンストップで提供しました。
M&Aの案件によっては、それぞれの専門領域を異なる企業が支援するケースもあります。そういった場合には、タイムリーに課題を共有することや、各担当者同士のコミュニケーションが煩雑であることが障壁になることがあります。しかし今回の案件では、PwCの各専門チームや外部アドバイザーが一枚岩となって円滑にコミュニケーションを取り、クライアントの意思決定、交渉をサポートすることができました。特に、本件は入札形式による時間的な制約があり、また両社のブランド知名度の高さにより世間の注目が高く、そのためクライアントとアドバイザーの双方に大きなプレッシャーがかかっていましたが、短期間で効率的に進めることができ、案件成立に大きく寄与できました。
今回の案件においてPwCは常にクライアントと密なコミュニケーションを図り、クライアントの問題意識や戦略の方向性を徹底的に追求することに努めました。課題を共有するのみならず、M&A実行後のPMI体制や、本件を通じたカインズおよびハンズの価値向上という視点を常に持ちながら議論を重ねることができたため、クライアントの重要な意思決定を支援することができたものと考えています。
本案件においては、地理情報のデジタル化支援を通じて、両社店舗の商圏内における競合分析を実施しました。この分析は一般的には手作業で膨大なコストと時間をかけて実施するのですが、今回の案件ではプロセスをデジタル化することにより省力化し、正確性と再現性の向上に寄与しました。
PwCは、このような期間が限られた案件においても、FA、DD、PPA、デジタル支援、PMIなど、PwCに在籍する多様なプロフェッショナルが結集することで、最適な形で案件の成立に向けて支援します。高度な専門性を備えた「人」が丁寧なコミュニケーションを通じ、「テクノロジー」を活用した効率的で質の高いサービスを提供することで、バリュークリエーション(価値創造)にフォーカスした案件成立をサポートします。
PwCは、今後もディールの先のバリュークリエーション(価値創造)を見据え、クライアントの持続的な事業成長に寄与できるよう支援に取り組んでまいります。
本件はカインズにとって初めてのM&Aでした。そのため、未経験であるがゆえに苦労する場面もありましたが、アドバイザーであるPwC様から広範なご支援を受け、ハンズをパートナーとしてグループに迎え入れることができました。今後ハンズとともに新たなDIY文化の共創、お客様の「より良いくらし」「生活文化の創造」の実現に向けて取り組んでまいります。
カインズは、日本全国で事業を展開し、売上高1兆円を超える国内最大級の小売グループであるベイシアグループの一員で、28都道府県下に228店舗を展開するホームセンターチェーンです。
「くらしに、ららら。」をお客様とのプロミスとし、日常生活に寄り添うライフスタイルの提案と、住空間のトータルコーディネートを意識した商品づくり、店舗づくりに努めています。 くらしを豊かにする商品を、オリジナル商品の開発と、独自の仕入れ・物流システムの活用により、毎日低価格で提供しています。
また、デジタルソリューションにより購買体験を革新的に向上させるため、売り場や社内でのIT活用に注力しています。「IT小売業」を実現させ、より柔軟にお客様のニーズにお応えしていきます。
代表者:代表取締役会長 土屋 裕雅
代表取締役社長 CEO 高家 正行
設立:1989年3月
本部所在地:埼玉県本庄市早稲田の杜1-2-1
資本金:32億6,000万円
事業内容:ホームセンターチェーンの経営
従業員数 :12,995名(2022年2月末)
店舗数:228店舗(2022年4月末)
公式サイト:https://www.cainz.co.jp/ (企業サイト)
https://www.cainz.com/ (オンラインショップ)
https://magazine.cainz.com/ (となりのカインズさん)